パートナーシップへの影響

前回の記事で少し触れていたように、
この“ジェンダーの質”というものは、
思っている以上に現実のパートナーシップに
大きな影響を与えています。

恋愛をはじめとしたパートナーシップが
“満たされないものの満たし合い”
になってしまいやすいのは、
《男性性》と《女性性》が抱えている
【罪悪感】と【無価値感】に気づかず、
そこに振り回されてしまうからです。

【罪悪感】と【無価値感】は、
ジェンダーの質のエッセンスのなかでも
特殊なもので、
《男性性》と《女性性》がもつ
根源的なものであるともいわれています。

根源的なもの
というのがポイントです。

命を授かった瞬間から
生まれながらに抱えているものなんですね。

だから
そういったものが自分の中に
あるということは自然なことです。

もちろん、
育った環境や家族の存在が
それをどれだけ強化しているか、
というところには個人差があります。

その【罪悪感】から解放されるために、
《男性性》は人の役に立つことで、
自分は悪い人間なんだという呪縛から逃れようとします。

その【無価値感】から解放されるために、
《女性性》は人に愛されることで、
自分は愛される価値のない人間なんだという呪縛から逃れようとします。

子どもの頃に夢中になった
戦隊アニメや少女マンガ・ディズニー映画は、そんなヒーロー願望とプリンセス願望を満たしてくれるものでした。

そんな幼い頃から、
私たちはそんな欲求をすでに
もっているんですね。

【罪悪感】と【無価値感】が
根源的なものである、
ということの意味が
少し分かるような気がします。

これまでの記事で、
私たちが深いところで
“つながり”を求めている、
ということをさまざまな視点から
お話してきました。

私はとても不思議に思いました。

私たちの心や身体は、
“つながり”を求めるデザインに
なっているのに、
なぜあえて
【罪悪感】や【無価値感】という

“つながり”にくくさせるようなエッセンスが
根源的に与えられているのか?

それが、
《内側のパートナーシップ》
という視点で考えたとき、
答えが見えてきました。

まずは、
自分との“つながり”が必要なのだ、
気づかせるためのデザインなんだと思います。

【罪悪感】は、
「自分で自分を認めること」でしか、
【無価値感】は
「自分で自分を愛すること」でしか、
昇華していくことはできません。

やっぱり、
私たちはどこまでいっても
“つながり”を求めています。

自分との“つながり”のその先に、
人との“つながり”があるということを
私たちは体験しているのだと感じます。

パートナーとの関係が、
“恋”から“愛”
に変わっていく
プロセスの水面下では、
自分との“つながり”が築かれている、
と言えるのかもしれません。

これって、
“つながり”の温かさを
100%味わうためのデザインとも
思えますよね^^

パートナーシップに歪みが起こるとき

恋愛関係や夫婦関係という
男女のパートナーシップにおいては、
お互いの《男性性》と《女性性》が色濃く表現されます。

どれだけ愛されている自分か?
どれだけ役に立っている自分か?

相手との関係が“恋”のうちは、
どれだけ相手のことを

見つめているつもりでも、
相手の目に映る自分の姿を見ている側面があります。

とくに恋愛は、
“満たされないものの埋め合い”
になってしまうと、
その関係性はとても苦しいものに
なってしまいます。

相手の言葉や行動で、
自分の価値が決まってしまう
(ような気がしてしまう)し、
相手への期待や執着が“愛情”である
という錯覚すら生まれてしまいます。

西野カナさんのヒット曲に
「会いたくて会いたくて震える」

という有名なフレーズがあります。

残念ながら、
彼女が震えているのは

彼をとても愛しているから、
というのは少しちがうかもしれません。

自分のなかの【無価値感】に
怯えている、というのが本質的なところです。

無意識のなかにあるものは、
意識しないから見えないだけで、
見ようと思えば見ることができます。

感情に振り回されず、
冷静に落ち着いて、
よーく感じて
よーく自分と相手をみてみれば、
なんの問題もないことが
たくさんあります。

ここは
《男性性》と《女性性》の
バランスが大切です。

《女性性》の感情だけでも
《男性性》の思考だけでも片手落ちで、
だからこそ内側のパートナーシップの
バランスが大切なんですね^^

誰かを好きになったり、
お互いが想い合うことは、
本当はとても幸せで素敵なことなのに、
自分の荷物を相手がもってくれるかどうか、
そればかりにフォーカスしてしまうと、
だんだんと苦しくなっていってしまいます。

大好きな人や愛する人の
“その人らしさ”すら否定しかねません。

大切な人に自分のルールを
押しつけるということだって引き起こします。

そんな悩みに直面していたとしても、
安心してくださいね^^
それも自然なことなんです。

“自分と向き合うこと”の
きっかけづくりのために、
私たちはそうした経験をするように
できています。

そして前述したように、
自分との“つながり”のさきにある、
人との“つながり”には愛しかありません^^

【無価値感】が先に反応するケース

では、
実際に起こりがちな事例から、
ジェンダーの質がパートナーシップに
与える影響について書いてみますね^^

人の人生というものは、
映画やマンガ、アニメのように
うまく展開していかないことだって
たくさんありますよね。

どれだけ絆が深くて、
相性の良いふたりでも、
いつだって順調というわけにはいかず、
そのときそのとき人生には大切にすべきものの優先順位も変わります。

ふたりの関係性の
バイオリズムが少し下がり気味になると、
さきに女性性の強いほうが、
「わー!もう私は愛されてないんだ。
なにがダメだったんだろう。
一生懸命尽くしたのに、
どうして裏切られたの?!」
と警報を鳴らしまくります。

男性性側がビックリするようなスピードで、
そのバイオリズムの変化を
“裏切り”であるという判断を下します。

これには《女性性》のエッセンスである
【無価値感】が大きく影響しています。

“愛される価値がない”
という苦しみを味わい続けるのは
辛すぎるんですね。

だからこそ、
これは“裏切り”である、
というジャッジを下して
関係性を終わりにしようとします。

もちろん、
警報を鳴らすのは【無価値感】であり、
無意識のなかに潜んでいるものなので、
本人の望みではないのです。

女性性が自爆したあとに、
はっとして撤回しようとするのは、
【無価値感】によって反射的に
反応していたことの証拠です。

さきに女性性が
二人の関係性を悲劇であると判断し、
それを受けた男性性は【罪悪感】
刺激されます。

そして
“この関係において自分は
なんの役にも立っていない。
自分は悪い人間だ”
という苦しみから早く逃れようとします。

「わー!自分は悪い奴なんだ。
こんな気持ちは二度と味わいたくない。
もうこの人のそばにいないほうがいい。」

そういって、
最初は単なるバイオリズムであったのが
決定的な別れにつながってしまいます。

夫婦関係であれば、
頻繁なケンカが続き、
それが積み重なった結果
離婚となることもあるでしょう。

それはときに、
お互いの気持ちとは
まったく裏腹の結果で
あることも少なくありません。

どちらも、
相手に振り回されているようで
自分の無意識のなかに潜んでいる
【無価値感】と【罪悪感】に
反射的に振り回されています。

“愛される価値がない”
というのは単なる思い込みです。

パートナーシップで
困ったということが起こったら、
まずは自分のなかに
そんな【無価値感】や【罪悪感】を
抱えたパーツさんがいるんだ、
ということを見つめてみてみると、
すっと楽になれることがあります。

とにかく大事なことは、
この関係性の状態=自分の価値、
という思い込みを手放すこと。

自分の価値と状況は、
まったく関係ありません。

自分の価値が、
相手の言葉や言動によって
左右されてしまう。

それは、
【無価値感】のしわざです。

【無価値感】は過敏に反応して
ネガティブな感情を引き起こします。

まずはそのことを知って、
ぶわっと湧きあがってくる感情が、
相手のせいでないかもしれない
という可能性を感じてみます。

ここで試されるのは、
どれだけ相手をみてきたか?
お互いを理解しようとしてきたか?
といえるかもしれません。

無意識のままに、
自分のことばかり見ていなかったか?

相手がどういう人で、
どういう価値観をもっていて、
だからどういう行動をするのか?

ここに一貫するなにかを
感じられるのであれば、
なにも心配する必要はなかったと
安心することができるかもしれません。

そして、
“内側のパートナーシップ”
を整えていけるとさらに安心感は
増していきます^^

自分のなかの
《男の子パーツさん》を意識して、
《女の子パーツさん》
気持ちをよく聴いてあげます。

“何がしたい?”
“どんなことが好き?”
“どんな言葉に安心する?”

そしてその願いを
叶えていってあげてみてください。

そうやって、
男の子:女の子=2:8
のバランスだったのを、
男の子:女の子=5:5
にしていきます。

逆に、
そこに一貫したものが感じられず、
それが不健全な関係であると気がついて
すっと立ち去るという選択肢だって
でてきます。

この“立ち去る”
という選択が苦しすぎてできないのは、
その苦しみの原因が
自分のなかの「満たされていないもの」
であることに気づいていないだけかも
しれません。

それを
ちゃんと見て気づくことができれば、
その苦しみはすーっと消えて、
大きな一歩を踏みだしていけます^^

もちろん、
見たくないときはそのままで大丈夫。

少し勇気がでてきたな~
と思えるときが必ずやってきます。

ただただ、
身体をほっとさせて、
考えすぎて頭が痛いなぁとか
肩が重いな~なんて感じながら
ゆっくりいきましょう^^

【罪悪感】が先に反応するケース

では、
男性性の【罪悪感】が先に
反応してしまうケースについて
書いてみますね。

《男性性》というものは、
【社会性】ととても深く結びついています。

そのため、
社会情勢の変化は
《男性性》に大きな影響を与えます。

新型コロナウィルスの蔓延は、
私たちの生活だけでなく、
経済的な面でも揺さぶりをかけています。

これからしばらくは、
経済的な揺らぎが続くと予測されています。

そうなると、
パートナーシップにおいて
ある現象が増えてくると予想できます。

それは
《音信不通》です。

社会情勢が傾くと、
“音信不通”が増えるのは
なぜなのか?

まずは、
こちらの“マズローの五大欲求”
の図をご覧くださいね。

いろんなところ目にする、
私たち人間の欲求レベルです。

今の日本の場合、
平均的な欲求レベルは
【社会的欲求レベル】である
と言われています。

ところが、
社会情勢が経済面で傾いていくと、
その欲求レベルの平均値も
下がっていきます。このように、欲求のボーダーが
下がっている状態です。

安全欲求
(安全な環境、経済的な安定、健康状態)

が侵され始めると、
パートナーシップにおいて、

《男性性》の【罪悪感】が発動します。

“相手を幸せにできないかもしれない。”
“相手を巻き込んでしまうかもしれない。”
“相手の役に立たなくなるかもしれない。”
“相手に尊敬されなくなってしまうかもしれない。”

そんな恐れを抱きはじめます。
そしてその恐れを味わい続けるのは
あまりにも苦しいために、
その関係性を
終わりにしようとします。

そしてふと、
《音信不通》にしてしまいます。

相手から連絡がきても
返事を返さない。

衝動が大きくなってくると、
相手を“ブロック”してしまう。

《女性性》の【無価値感】と同じで、
その【罪悪感】は、

無意識のなかに存在しているので、
本人の望みではないのです。

《女性性》と同じように、
《男性性》にもいえることは、
この関係性の状態=自分の貢献度、
という思い込みを手放すこと。

自分の貢献度と状況は、
まったく関係ありません。

相手が求めているものは、
あなたの貢献度ではなく、
あなたの存在です。

自分が相手を経済的にも
幸せにしてあげられなければ
自分が悪い人間のような気がしてしまう。

それは、
【罪悪感】のしわざです。

【罪悪感】は過敏に反応して
ネガティブな感情を引き起こします。

まずはそのことを知って、
ぶわっと湧きあがってくる感情が、
自分のせいでないかもしれない
という可能性を感じてみます。

そのうえで、
“相手の求めるものが大きすぎて
自分には応えきれない”
と感じるなら冷静にそれを
相手に伝えてみてください。

そうではなく、
“相手はどんな自分でも
受け容れてくれる”と思えるなら、
その関係を手放すことを少し
待ってみてください。

そしてまずは、
自分のなかの
《女の子パーツさん》を意識して、
《男の子パーツさん》を
たくさん認めてあげてください。

“いつも頑張ってるね♡”
“たくさんの人を喜ばせてるね♡”
“たまにはゆっくりしてね~♡”

言葉遣いはなんだって
大丈夫です。

とにかく、
「自分を認める、労う」
ということをやってみてください。

そうやって、
男の子:女の子=8:2
のバランスだったのを、
男の子:女の子=5:5
にしていきます。

そうやって、
“内側のパートナーシップ”
を整えていけると、
漠然とした不安感も軽くなっていきます^^


男性性に《音信不通》を

突きつけられた女性性は、
【無価値感】を強く刺激されます。

“縁の切れ目”の形には
さまざまなものがありますが、
この《音信不通》ほど
酷なものはないのではないかと感じます。

(この《音信不通》については、
実際のセッションの事例をもとに、
トラウマ化させないためのプロセスを
記事にしたいと思っています。
記事を書きました^^)

でも、
男性性にはみじんも
“お前には価値がない!”
なんて気持ちをぶつける
つもりはありません。

むしろ、
相手を大切に想っているからこその
無力感によって【罪悪感】が湧いてくる
側面が大きいとも言えます。

こうして俯瞰した視点で視てみると、
なんとも歯がゆい気持ちになりますよね。

どちらの気持ちも理解できるような。

単純に《音信不通》にしたからといって
断罪はできないけれど、
ひと言なにか伝えてあげて欲しいような
そんな気持ちでいっぱいになります。

《音信不通》には
2種類あって、
1つは関係性が浅い場合。

たとえば、
数か月前にアプリで出会った、
などの場合はこの例には
当てはまらないかもしれません。

もう1つは、
ある程度の年月を重ねた関係性である場合。

この場合は、
この例に当てはまることが多くあります。

とくに、
この場合の《音信不通》は、
男性性が強い人、
つまり“男らしい人”に
起こりやすいので困りものなのです。

もともとの
【責任感】や【与える】という、
《男性性》のエッセンスが強い人ほど
この傾向が強まります。

同じ男性でも、
「何千万の借金があっても、
好きな女性なら離さない」
というタイプの人もいます。

この場合は、
【責任感】などの《男性性》よりも
【感情】のような《女性性》が強い傾向があるといえます。

《男性性》と《女性性》のバランスは
人それぞれです。

愛情表現も人それぞれ。

だからこそ、
自分のなかに存在する
【無価値感】や【罪悪感】を認め、
“内側のパートナーシップ”を整えて、
相手の“根っこ”を
きちんと理解していけたら…

“つながり”の幸せを存分に味わうことができそうですね♡♡

“内側のパートナーシップ”のバランスが
お互いに5:5だと、
【相手に与えたい気持ち】と
【相手に求める気持ち】が
バランスよく巡るようになるので
ふたりの関係性が温かいものになっていきます^^

これはテクニカルなものではありません。

“自分と向き合う”
ということから逃げない。
その在りようがお互いに伝わっていくから、
巡っていくものなんだと思います^^

 

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Q.「ソマティック(身体性)とは?」

●【概念編】
思考(左脳)と身体感覚(右脳)のちがい①~⑤・<最終章>
※<最終章>までの連続シリーズです。

●【本質編】
ソマティック(身体性)な探究~本質編~

●このブログでは、
【パーツ心理学】にもとづいて、
身体の細胞や感情に対して
“擬人的”な表現を多く用いています。
自分と向き合ったり、
感情と距離をおくことを優しく
手伝ってくれる神経生物学的な考え方です^^